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桜スタジアム建設募金団体説明会のご報告

2018.10.16

10月6日(土)に開催しました「桜スタジアム建設募金団体説明会」について、以下のとおりご報告いたします。


◆税制上の取り扱いについての説明および質疑応答


 中野会計事務所 江川浩昭氏

皆様が税金として納めていただいているのは、所得税や住民税が主となります。まず所得税の概略ですが、給料を会社から貰っている方は給与所得、商売されている方は事業所得と言います。この所得の合計額から所得控除(主に配偶者控除、扶養控除、基礎控除など)されます。桜スタジアム建設募金団体への寄附については所得控除の中の「寄附金控除」に該当します。この所得控除を差し引いたものに税率をかけて納税していただいていることになります。

5万円寄附された場合、5万円の寄附から無条件に適用されない分が2,000円となり、残る48,000円が控除対象になります。例えば所得税が10%であれば4,800円が控除されることとなります。残りの90%(43,200円)が住民税から控除されます。つまり5万円寄附された場合は、48,000円分が所得税もしくは住民税からの控除対象となります。

 ただし上限はあります。皆様の収入や家族構成によって所得控除の内容も違ってきますので、ある一定の限度額までであれば実質2,000円の負担となります。

給与収入が300万円の独身の方であれば、28,000円が限度額となります。給与収入400万円で夫婦+子2人(大学生と高校生)の場合、12,000円が限度額となります。詳しくは総務省ホームページ内【税金の控除について(http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/furusato/mechanism/deduction.html)の目安表をご覧ください。
その他ふるさと納税のサイトが多数あり、限度額の計算もできますので、昨年の給与額を参考にシュミレーションしていただければと思います。

給与収入の方は、会社が12月に年末調整を行います。ここで寄付金控除は受けられなく、2018年12月31日までにご寄附いただければ、来年の2月中旬~3月中旬の確定申告の時期にお住まいの所轄税務署にて確定申告をしていただきます。現在確定申告はお持ちのパソコンでできるようになっていますので、一度寄附していただけるなら、寄付金控除制度をご利用いただければと思います。


●質疑応答

Q:給与以外に収入が無い場合、確定申告は5年までできますが、桜スタジアム建設募金団体への寄付もこの対象になるのでしょうか?
A:なります。

Q:今年12月までに寄附をし、来年確定申告をする場合、何か書類をもって確定申告をすればよいのですか?
A:はい。桜スタジアム建設募金団体から発行される領収証をお持ちいただき、申告していただきます。領収証は寄附をいただいてから2週間~1か月半以内に、ご寄附いただいた名義の方に郵送にてお送りさせていただきます。

Q:昨年も寄附をして今年の確定申告を行ったが、今年また寄附をすれば来年の確定申告で控除されるのでしょうか?
A:はい。年度が違えば控除されます。

Q:総務省のホームページに記載されているふるさと納税額の目安表は、社会保険料などを差し引いた後の給与収入の額なのでしょうか?
A:こちらはふるさと納税を行う方ご本人の給与収入となっていますので、社会保険料や税金を引く前の金額になります。

Q:例えば5万円を寄附すると2,000円を差し引いた48,000円が控除されるとのことですが、所得税が10%の税率で引かれた分の残りの金額は全額住民税から控除されるということでしょうか?確定申告をすると自動的に今住んでいる市区町村に控除された残りの金額が通知されるのですか?
A:その通りです。税務署に申告いただくと、そのデータがお住まいの市町村に自動的に届きますので、市町村から翌年の6月頃に通知がきます。そちらに控除額が記載されているはずです。

Q:再来年の2月~3月に確定申告をしようとすれば、来年に寄附をすればよいのでしょうか?
A:はい。再来年に確定申告をする場合は、来年2019年の1月1日~12月31日までの日付の領収証が対象となります。

 

◆桜スタジアム建設の現状報告および質疑応答

 宮本功代表理事

現在基本設計が終了しこれから実施設計に入っていきます。基本設計とはおおよその建物の形状を決める過程となります。
現在の寄附の状況は約4億6500万円となっています。必要な金額が残り61億円となり、少し厳しい状況です。やはり募金だけで到達することは難しく、現在資金調達を行っています。この4億6500万円というのは入金している金額のみをいいます。今後さらに人と時間をかけていく必要があり、桜スタジアム建設募金団体の体制を組みなおしました。

ここからラストスパートしなくてはいけません。

桜スタジアムについてですが、解体が2月から始まります。完成予定は2021年3月です。先般大阪市議会で議決され、30年間指定管理の権利を一般社団法人セレッソ大阪スポーツクラブが取得する寄附の仕組みが可決されました。桜スタジアム建設募金団体がスタジアムを建てて大阪市に寄贈する仕組みについては一定の成果を得られました。スケジュールについては予定通り動いていますが、資金調達の点ではまだ未到達です。資金調達のために日々動いており、事業を同時に企画しながら資金を得るために奔走しています。私共だけでは足りないため、いくつかの金融機関の協力をいただいています。

皆様にはぜひスピーカーとなっていただき、多くのパートナーを獲得したいと考えています。



桜スタジアムの構造について、そもそもの構想では現アウェイゴール裏側に屋根をかけ、現バックスタンド側までL字型に改修する予定でした。現ホームゴール裏は改修する想定にしておらず、ホームとアウェイを入れ替える予定でした。ところが環境対策の問題により、現ホームゴール裏側の音の問題がクリアできませんでした。そのため改修位置を再検討しました。音の問題がクリアできないことを踏まえ、一時はヤンマーフィールド長居(長居第二陸上競技場)を改修する案も動かしていました。音の問題が解決しないと何もできないからです。ただし、ヤンマーフィールド長居を一から改修することは金銭面においても厳しいことです。
そこでゴール裏の入れ替えを無くし、現ホームゴール裏に屋根をつければ音の問題がクリアできることが分かりました。さらに大型映像装置を現状のまま(現アウェイゴール裏側)に残すことで、コスト面が解決したほか、南側(現アウェイゴール裏側)に屋根が無いことによって、芝生の育成面においてもポジティブです。

もう一点コストがかかる要因として、ACL対応のスタジアムにすることです。当初の予定では、ゴール裏はこれまで同様立見席を想定していました。しかしACLのスタジアム要件では立見席での観戦は不可となっており、他スタジアムでの状況を見ていると厳しい処置をとっているため、ACLの要件も満たしたスタジアムにすることが必要と感じました。つまり、すべて背もたれ付きの座席となります。

ACL対応になると、現在の照明設備も変えなくてはいけません。その他シャワーの数などクリアしなくてはいけない項目がいくつもあり、大きく計画変更となったためコスト面も鑑みこのような構造となりました。
また、個人的には現在の寄附金額の集まりから考えて当初の案だと途中で何かを削るということができませんでした。今回建物を分棟化し、個々に分けたことで比較的対応しやすく、後でパワーアップもしやすい仕組みになっています。

今回発表させていただいたスタジアムは、新メインスタンドは屋根が100%つき、座席が6,609席、VIP BOXが15部屋あり、販売可能となります。ラウンジが3か所でき、高いお席を購入された方が食事できる場所があります。1階に1か所、中段に2か所設ける予定です。厨房もつくり、最大2,000~3,000食提供できる広さを確保します。複合機能の部分については、普段VIP BOXとラウンジがレストランとして利用できるほか、大きいラウンジでパーティーや結婚式、ミーティングができるようにするなどを想定しています。

JR側からみると、お客様が上下に移動する際の階段があります。なぜ階段かというと、敷地がないからです。海外には非常に多い形ですが、日本ではスロープで移動する形がメジャーです。エレベーターは当然設置いたします。
また駐車場や保育機能も整えるほか、売店ではガスが利用できるように想定しています。ホーム側のロッカールームには浴槽を入れる予定です。これにより、試合のない日は一般駐車場として営業ができたり、保育所や託児所ができたり、浴槽を温浴施設として営業したりといったものを複合的に入れていくという形をとります。
新メインスタンドの2階部分の傾斜角は35度です。新メインスタンドには他にもオフィスや貸会議室など、大会運営をするための部屋は平日も運用いたします。

ホームゴール裏は増設いたします。防音壁もあり、後方(マンション側)には音漏れしないようになっています。鶴が丘駅側には、ファンショップやコンビニ、駐車場などを想定しています。




長居駅側には、防音壁などはありません。何かエンブレムなど顔となるモニュメントを用意し、車寄せ機能もつくります。選手バスは道路から直接こちらに着くことになるので、公園の中を走ることはありません。そのためこの車寄せエリアは、試合日は規制されるエリアとなります。VIP BOXやラウンジをご利用されるお客様はこの車寄せエリアで降りていただき、近くの駐車場に車を停め、専用入り口から入りエレベーターでそのままラウンジへエントリーするという流れになります。

エレベーターが2基設置いたしますが、そのうち1基は試合後選手がラウンジやVIP BOXへ上がっていき、お食事をされているお客様へご挨拶に伺えるよう、試合開始2時間前から試合終了後1時間は飲食ができるようにしたいと考えています。
アウェイゴール裏側は2,691席を想定しています。こちらに関しては、屋根がかかっていないのは申し訳ないと感じています。




ホームゴール裏側は4,824席を予定しています。建設業者には、屋根の角度や素材など、サポーターの皆様の応援する声がピッチにいかに効率よく届くかシミュレーションを依頼しています。ヤンマースタジアム長居開催時にアウェイサポーターが屋根の下で応援しているのは音がよく反響するからですが、同じようなパワーをもつ屋根ができます。そうすることで、アウェイサポーターよりホームサポーターの声がよく聞こえることを想定しています。
ホームゴール裏の収容人数が増えることで、セレッソ大阪としてはそれなりの観客収容人数を確保しないといけません。

全てのスタンドの収容人数を足すと、約25,000席となります。これは券売できる席数です。キンチョウスタジアムは公称では約20,000席ですが、チケットが販売できるのは約18,000枚となります。そのため約9,000席増えることとなります。
今すぐ9,000席増えても、現在の入場者数をみると少し厳しいところはありますが、大きいスタジアムを造っても損益分岐点が高すぎて赤字になってしまうということではクラブの成長スピードが落ちてしまうので、本当は3万席までは増席できますが、あえて約25,000席とし、その分VIP BOXやラウンジに予算を投じて飲食などのサービスの向上に重きを置きました。

発表しているパースは外観のものしかありませんが、設計図面上ではお手洗いの充実、多目的部屋の充実などを考慮し設計を進めています。

 
●質疑応答

Q:現在のメインスタンドはどうなるのでしょうか?
A:現メインスタンドはそのままです。ただし、ACL対応とするために機能はあげなくてはいけないので、設備周りは多少変えます。トイレの増設は想定していませんが、トイレの数については弱点であるので、視野にいれていきます。

Q:全席にドリンクホルダーはつきますか?
A:設計上ではメインスタンド側には全席つけますが、ゴール裏(ホーム・アウェイとも)はつける想定をしていません。

Q:選手の入場やベンチなどはどちらになりますか?
A:新しいメインスタンド(現バックスタンド側)となります。スタンドの中にめり込んでいるような形になります。ピッチから新メインスタンドの観客席までは6mとなります。今のゴール裏が8mなので、かなり近くなります。

Q:入場待機列はどのようになるのでしょうか?
A:アウェイサポーターは臨南寺沿いに並んでいただきます。ホームサポーターは公園に向かって並んでいただきますが、新メインスタンドは全席指定席を予定しているのでそこまで長い列になることは想定していないのですが、新メインスタンド後方の長居~鶴が丘には広い歩道をつくっていただけるので、列をつくることはできます。
ゴール裏と新バックスタンド(現メインスタンド)の待機列は公園側(現在と同じ場所)となります。

 Q:ホームゴール裏にも座席をつくると言っていましたが、収容人数はどのくらい増えるのでしょうか?
A:およそ倍くらいになります。奥行が増えますので、今あるゴール裏の傾斜角のまま伸ばすような形となります。現在は席の前方から出入りしていただいていますが、中段に出入り口を設けます。今の最上段が中段通路となり、階段で降りていただく形となります。

Q:芝かぶりシートはどうなるのでしょうか?
A:新メインスタンド側は5mしかないため芝かぶりシートを設置することができません。新バックスタンド側のスタンド前(ピッチレベル)には、車いす席を設ける予定です。車いす席利用者からは、かねてからホームとアウェイを分けてほしいという要望がありました。そのため両サイドに設ける必要があり、ここに設けざるを得ない状況であります。

Q:収容人数が25,000人ということは、ヤンマースタジアム長居との併用もありますか?
A:まだ細かく決めきれていませんが、35,000人程度の入場者数見込みであれば桜スタジアムを使用したほうが良いという意見が出る可能性があります。桜スタジアムはラウンジを利用したサービスの設定が充実すると、このサービスをヤンマースタジアム長居の開催時に持っていけるのかという懸念があります。4万人を超える入場者数であれば収益のためにもヤンマースタジアム長居を利用したほうが良いと考えます。年間2試合程度はヤンマースタジアム長居で開催する可能性はあると個人的に感じますが、桜スタジアムのホームサポーターの収容人数などを鑑みると、セレッソ大阪のお客様をどれだけ収容できたか、という点においては、すべて桜スタジアムで開催することもできるのではと考えます。

Q:つまり収容人数と入場者数に大差がなければ桜スタジアムを利用する可能性があるということですか?
A:そうです。なぜならば桜スタジアムのほうがサービスは明らかに良くなります。例えばヤンマースタジアム長居開催時は、ホームゴール裏は2万席用意しています。ですが、サービスが下がってしまうと思われます。飲食の面や屋根の有無、照明をLED化することによる演出なども変わってきます。
そのあたりを踏まえて、どこが分け目になってくるかはこれから協議していきます。

Q:当初の計画から変わりましたが、また完成形というのができるのでしょうか?
A:はい、作らなければいけません。完成形は多少変更点があります。またホームゴール裏には日影規制の問題があり、高さがあげられません。もともと日影規制の問題は計算されていたためホームゴール裏は屋根をかけていませんでしたが、今回音の問題で屋根をかけました。日影規制により高さに制限があります。

Q:新メインスタンドとホームゴール裏のL字は接続できないのでしょうか。
A:新メインスタンドとホームゴール裏はできるかもしれませんが、ホームゴール裏と新バックスタンドは当初の案から接続できないことはわかっていました。

Q:新バックスタンド(現メインスタンド)のVIPエリアはそのまま残すのでしょうか?
A:本当は変えたいのですが、そこまで予算を回せるかがポイントになります。また現メインスタンドの構造を見直したところ、新たに負荷できない状態でした。そのために、大規模な改修は難しいですが、VIPエリアを変えられなかったとしても、裏の部屋をトイレに改修したりできないか考えています。その他現在の株式会社セレッソ大阪の事務所を新メインスタンド側に移動させ、空いたスペースの一部をトイレに改修するなど検討していますが、いずれにしても現在の66億円の枠には入っていません。

Q:大型映像装置について、既存のものを使用するということですが、スタジアムによっては2か所設置されていたりしますが、その予定はありますか?
A:一番良いのは角に対向でつくることがオーソドックスです。最終的にはそのようにできればと考えています。

Q:今のオーナーズシートは設定しなおしになるのでしょうか?
A:現メインスタンドの方がいいという方も中にはおられると思いますので、その方々はそのままキープできると思いますが、新メインスタンドに5,000席近く設けますので、ホスピタリティの面からも新メインスタンドをおすすめします。売店がガスを使用できるのは新メインスタンドのみです。
座席の位置に関しては株式会社セレッソ大阪が設定します。それなりにこれまでの座席をコピーできるような配置であればある程度似た形になるかもしれません。大きなゾーン分けでご要望をうかがうことになるかもしれません。
 
Q:環境面は良くなるかと思いますが、Wi-fi環境はどうなりますか?
A:断言はできませんが、入れる方向で検討しています。ランニングコストが非常に高いことが懸念点としてあります。新しいスタジアムに入れないという設定はないだろうと考えています(笑)。また今後さらに通信規格が発達してきたときにどうなるのか見えないところがありますが、入れることを前提に動かしています。

 
今後実施設計に入っていきますが、現在のものが確定ではありません。建物の大きさや位置、どこを改修するかは決定しましたが、中身はこれから検討していきます。またご意見いただきながら細かな設計に入れればと思っています。